祈りが咲く場所

彼は試合のたび、神社の石段をのぼり勝利の祈願をしています。
名前はとしきくん。
決して神頼みではない。
稽古で流した汗や、擦りむいた掌や、静かに積み重ねた努力の時間を、
試合の場で発揮できるように、神さまの前で誓っているのです。
いよいよ、柔道の全国大会。
ケガなく、力を余すことなく、
その一瞬のために蓄えた全てを放てますように。
私も胸の奥でそっと手を合わせる。
神社の隣は小学校。
「宮司さーん!」と駆け寄る声が、
風に揺れる木々のように明るく境内を満たす。
ランドセルの子らが、今日あった出来事を
小さな手振りで一生懸命伝えてくれる。
その光景は、何度見ても胸が温まる。
今日も私は神さまに祈る。
この声たちがいつまでも澄んで響く世でありますように。
全ての子どもたちが安心して穏やかに暮らす事ができる世が続きますようにと。