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鎮守の朝、心を掃く

鎮守の杜は、今日も静かに息をしています。
この小さな杜が、いつも美しく保たれているのは――
地域の皆さまのあたたかな手入れがあるからです。

毎朝、まだ空気が薄青い時間に
箒を手に境内を掃き清め、そっと手を合わせてくださるご夫婦がいらっしゃいます。
実は、国内有数の企業を築かれたビッグネームの方。
けれど肩書きはすっかり脱ぎ捨て、ただの一人の参拝者として、黙々と落ち葉を集めておられます。

「神社を清浄にするのは、私たちのつとめ。そして私たちのため」
そう静かに仰るその姿は、どこまでも清らかで、どこまでもありがたく――
神さまも、そっと頷いておられるような気がします。

少し前までは、掃いても掃いても舞い戻る枯れ葉に手を焼く季節でしたが、
いつの間にか、若葉の息吹に包まれ、境内は落ち着きを取り戻しました。

緑は深まり、杜の蒼が日に日に濃くなってゆきます。
蝉の声がそのうち、合図のように夏を連れてくるでしょう。

今日も、杜は静かに、そして確かに生きています。
その鼓動に寄り添ってくれる皆さまへ――心より感謝をこめて。

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