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祈りの夕べ

令和三年七月三日。
あの日、熱海・伊豆山の山肌が崩れ落ち、二十八もの尊い命が奪われました。
それから四度目の夏。
あの日を越えた空は、今年も、ただ静かに青くて、
それがかえって胸に沁みるような気がします。

復興はまだ途中で、痛みや不安が消えたわけではありません。
それでも、神社に集った人々の胸には、
祈ることで誰かの心に寄り添いたいという想いがありました。

神事では、亡くなられた方の御霊の安らかなることを、
そして被災された方々の心に、少しでも穏やかな日が戻るようにと祈りを捧げました。
杜に手を合わせるとき、
この地に立てていることの意味と感謝が、ひときわ強く胸を打ちます。

巫女舞が風のように奉納され、
琉球太皷の音が大地の奥を揺らし、
高校生平和大使・水野可麗さんたちの歌声が、
まるで魂の届く場所まで響いていくようでした。

拝殿の前、参列者たちは去来する思いに、
目頭を押さえながら空を見上げていました。
祈りとは、過去に向けるだけのものではなく、
今日を生きる力にもなるのだと、あらためて気づかされる夕べでした。

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